奇妙な依頼

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「あの……ツイッターとかで広く尋ねたら、答えてくれる人がいるんではありませんか?」  そう質問したのは三条である。落ち着ついた紺色のスーツを着ていて安心感があった。もし先野だけがこの場で話を聞いていたなら、この興信所の品位が疑われていたかもしれず、やっぱりいいです、とひと言も相談せずに帰られてしまったかもしれなかった。  もちろん、会社としては依頼を受けるほうが売り上げがたつから、わざわざ足を運んでくれた客を追い返すようなマネはしたくはない。しかし、依頼者が高い費用を払わずともよい手段があるのなら、それを提案するのも、会社として信頼される要素となりうる。 「いえ、それは……公にはしたくないので」  九島はぼそぼそと答えた。あまり触れられたくない、という気持ちが出ていた。 「そうですか……」  だから三条も深くは切り込まない。 「ですから、こうやって興信所を頼ってきたんです。どうか、お願いします」  頭を下げた。自分ではどうにもならない、とお手上げ状態なのだろう。
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