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変化÷前触れ=予感
寝返りを何度もうつ。
眠れない…色々考え過ぎて、頭がオーバーヒートしてる感じ。
不意に隣に灯りが点った。
優姉!?こんな時間に?
窓を明け優姉の部屋の人影に目を凝らす。
背格好が優姉だ。
電話をかけると、ワンコールで出た。
「ん、何?」
「今、部屋にいる?」
ガラッと窓が開き、優姉が顔を出す。
「よっ」
「何やってんの?実家とはいえ遅くない?泊まるの?」
俺の部屋は消灯したままで、優姉は自分の部屋の灯りを背に受け、表情はハッキリ見えない。
久しぶりの逢瀬に俺は落ち着きを無くし、疑問符だらけ。
「ううん、帰るよ。卒アル取りに来ただけ」
「こんな時間に!?一人じゃ危ないよ。駅まで送るよ」
ベランダ越し、お互い相手の顔に目線を合わせ携帯で話す。
「大丈夫、下に拓真君いるから。今、母と話してる」
「…あ、そう」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、寝れなかったから」
「…心配事?」
明かりを受け、彼女からは俺の表情筋一つ一つの動きまで分かるだろう。
昔から、それだけ近かったのだ。
「ん~心配事って言うか、優姉は綾香さんと最近話してる?」
「ないけど、どうした?綾香ちゃんに何かあったの?」
「…聞いてないなら、いいや」
呟いた声は小さく、俺は視線を伏せた。
綾香さんは俺だけに相談してる?
幸せボケした優姉に投げ掛けても仕方ないか、そう思ってると電話越しに忍び笑いが聞こえた。
「陸は鈍感だからな~」
はあ!?
どの口が言う?
呆れ顔で睨む。
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