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同僚がヘッドハンティングされ抜けたので、急激に俺の抱える仕事が増えた。
今この業界の技術者は引っ張りだこ。
同業他社は言うに及ばず、異業種もDXに乗り出し自社内に優秀な技術者が欲しいと、年収や待遇up三顧の礼で迎えられ、移っていく奴もいる。
勿論、俺にも話はある。
だが社長に恩がある俺は、移るつもりはサラサラない。
俺の両親は二人とも学者だが、フィールドワークで不在が多く育児放棄気味が影響したせいか、小学生の頃からコミュ障と同級生に烙印され、登校するのが煩わしかった。
義務教育をギリ全うした俺に、ネットで知り合った社長は、進学の意味や目標を教示してくれた。
隣家の優姉の存在も、俺にとって大きかった。
お互い多感な時期に知り合い、親や周りに心を許せない似た様な環境の俺達は、他愛ないお喋りを通して同士として支え合ってきた。
居間の窓から隣家を見やる。
林家の売却の話は無くなった様だが、優姉が帰ってくる事はない。
あ~あ、
生活に潤いが無い。
癒しが無い。
ついでに食料も無い。
冷蔵庫を開くと、酒しかなかった。
食べに行くか。
俺は優姉と良く通ったコンビニのイートインに行く為、身支度をした。
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