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戸惑い+変化=恋心
それから俺と綾香さんは、ちょくちょく飯を食う仲になった。
俺は性懲りもなく優姉に対する未練を、
綾香さんは渉さんの心配をよく話題にした。
綾香さんは物凄く大人っぽいルックスなのに俺より一つ年上なだけだった。彼女は
「呼び捨てで良いよ」
と言うが、恐れ多くて出来ない。落ち着いた彼女の口から、たまに漏れる毒舌に肝を冷やすから。
「アイツより俺と付き合いが長いのに!」
と、いつまでも優姉の事を引きずる俺に
「陸は諦めが悪いねぇ…」
彼女はタメ息をつく。
何だろう…今まで優姉に愚痴ってたしょうもない話を綾香さんに話せる。
優姉然り綾香さん然り、針と糸を使った生業の人は皆そうなのか!?
そんな風に、優姉と紡いだ時間を懐かしむ機会が増えたせいか。最近優姉が妙に夢に出る。
眠りが浅いせいもある。根を詰めて仕事に没頭すると、時間の感覚が無くなる。気付いたら朝はザラだ。
そこから日中のオンライン打合せまで仮眠をしてるせいだろう。
今も起きなきゃと睡魔の狭間で舟を漕ぐ。
「陸~聞いてよ!」
ブレザーを着た優姉がベランダ越しに声をかけ、頬を膨らませてる。
白昼夢だと解った。
優姉が若い!中学生の時の制服を着てる。
俺は俯瞰した気分で、昔の俺達の会話を聞いてる。
両親に無理やり中学から入れられた私学の一貫校で浮いてた優姉。
その当時、公立の中学に入学したものの引きこもり継続中の俺と、良くお互いの学校の悪口を披露し合ったものだ。
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