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「全く、やんなっちゃう!イントネーションが変って余計なお世話よ!」
優姉が暮らしてた田舎は高齢者が多く、方言があった。こちらに引っ越して来てから、優姉の話し方は標準語になったものの、それでも少し訛りがあった。
その訛りを隠す為、余り学校では無駄話をしないらしい優姉が、俺の前で爆発する。
それだけ気を許してるって事だ。
俺の部屋に移動して、田舎の祖父母から送られて来たという干し芋をパクつく彼女。
初対面の時より、徐々に丸くなっている優姉…祖父母から定期的に送られてくるお米や自家製野菜が美味しくて、つい…と言ってるが、多分ストレスが原因だろう。
家では今まで自分を祖父母に任せきりだった両親との軋轢、学校では思春期真っ只中の同級生に話し方をからかわれ、優姉は気が休まらない日々がこの頃続いてた。
俺がそれとなくヤケ食いを窘めると、
「私だって周りの言う事、全部気にしてる訳じゃないよ…でも全然違うの。天候や自然に神経を配りながら暮らしていくのと、人の目や耳に気を遣って生活するのは」
と肩を落とし、つぶらな瞳を伏せる彼女にそれ以上は言えなかった。
デッドラインのアラームでハッと目が醒めた。
ああ、髭をそって身支度をしないと…。
今日のオンライン会議で分担作業の見通しが立つので、夕方優香さんと食事の約束をしている。
渉さんの事で聞いて欲しい事があると、メールは深刻な文面だった。
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