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飛行機が離陸する瞬間、私はビクンと肩が震わした。
すると彼が私の肩を抱いて来た。
「ほら、肩の力を抜けっ…大丈夫だから…」
彼は高い場所に飛び立っていく飛行機に慄いて震える私を優しく窘めた。
あっという間に飛行機は雲の上。
私は極力窓の外の雲を見ないようにヘッドフォンを着けを音楽を聴き、気を紛らした。
「…君を連れて来ない方が良かったな…」
「いえ・・・本当にすいません…ご迷惑かけてしまって…」
「別に迷惑じゃないよ…さっきから気になったけど、声が掠れてる。風邪?」
「いえ・・・空調のせいだと思います」
「そう?」
「はい…」
二、三日前から喉が痛くて、風邪を引きかけてると言えば…また社長に心配かけるコトになるから適当に誤魔化した。
彼は足を組んで、機内サービスで出されたコンソメスープを優雅に啜った。
高所恐怖症がなければ、私も寛げるのに。
私が彼を羨ましく見ているとが不意にこっちを見た。
「俺の顔に何か付いてる?」
「いえ・・・」
「君に見られると何だかこっちが緊張して来る」
「えっ?」
社長の頬が染まったように見えた…私もその様相を見て頬を染めてしまった。
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