プロローグ

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「一ノ瀬コーポレーション」から一週間後・・・内定のメールが私の携帯に送信されて来た。私の内定がもらえた会社は「一ノ瀬コーポレーション」だけ後は全滅だった。今年は不景気で友人たちも、就活には苦戦を強いられ、一社でも内定が貰えばいい所。 『一ノ瀬コーポレーション』は二部上場企業の建材メーカー。主要取引先の名前には大手ゼネコンの名が連なっていた。 父にも相談したが、なかなかいい会社だと言われ、私は父の勧めもあって、そのままその会社に入社した。 新入社員研修を終え、私の配属された部署は本社の秘書課。 私が秘書としてサポートするのは最終面接で無愛想な雰囲気を漂わせていた社長・一ノ瀬瑞生(イチノセミズオ)だった。 「初めまして、一ノ瀬社長の専属秘書を務めさせて頂きます…桧垣寧々です。新入社員ですが…一生懸命、頑張りますので、よろしくお願いします」 噂では、彼の秘書に就いて、誰一人長続きしないと言われていた。 彼の父親一ノ瀬明生(イチノセアキオ)会長は女性の秘書を就ければ、彼も文句を言わず、黙って受け入れて邪険にはしないだろうと考えた。 私は一種の実験台のよう。
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