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「本当に有難うございます。助かります。社長」
社長は私と言う秘書を歓迎していない割には優しく接してくれた。
「社長はとても冷たい人だと思っていましたが…優しいんですね」
「別に…」
社長は頬を少し赤く染め、プイッと顔を逸らす。
「ほら、着いたぞ」
ポンと涼しい音を立てエレベーターが停止する。
私は扉を押さえ、先に社長を下ろして自分が下りた。
「半分持ちます」
「いいよ…」
「でも・・・」
「いいから…」
社長は強い口調で言い放ち、先に会議室に行ってしまった。
会議の時間までまだ十五分がある。
私と社長は会議用のテーブルにレジメを並べていく。
社長が自ら提案し、進める新しいプロジェクト。
一緒にレジメを並べながら彼の姿を盗み見る。
彼の瞳にはプロジェクトを成功させようと思う強い意志が感じられた。
「社長」
「んっ?」
「プロジェクト成功するといいですね…」
「あぁ」
会長や幹部達が揃い、社長が自らプロジェクタースクリーンを使って、プロジェクトの説明に熱弁を奮った。
普段は余り話さない社長。この時ばかりは饒舌に皆が納得するまでプレゼンをした。
彼の仕事に向き合う姿勢。若いながらもトップの風格を漂わせる彼に私の胸はキュンしてしまった。
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