2人の隠し事

　リカちゃんはクラスの合唱コンクールのリーダーをすることになった。昼休みや放課後にリカちゃんを中心に熱心に練習した。
　ある日、クラスの数人が昼休みの練習をさぼった。リカちゃんはそれを注意した。すると、その中の一人が泣き出してしまった。
　みんなはリカちゃんの方を責めた。
「そこまで言うことないじゃん」
「思いやりがないよ」
　多数になると、みんな気が強かった。そして、リカちゃんがリーダーを続けるなら合唱の練習はしない、ということにまでなった。
　担任の先生はリカちゃんの方を注意した。
「正しいことを言うのはいいけど、もう少し、人の気持ちを考えないとだめよ。優しさがなきゃいけないのよ」
　リカちゃんは合唱コンクールのリーダーを辞めた。そして、クラスで何も言わなくなった。