~ACT4 宣戦の狼煙~

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「国王様はね、私に、アトランス帝国の軍人として働かないかって、仰ってくれたの」  しかしラーナはその提案を飲み込むための条件を、国王へと突きつける。  それは、弟を始めとしたラーナの家族を見付けて欲しい、と言うものだ。 「今思えば、かなり無茶なお願いだったけれど、国王様はそのお願いを、笑顔で引き受けてくれたの」  ラーナはアトランス帝国国王と、家族が見つかり次第入隊する旨の契約を行った。それまでの衣食住に関しては王宮内で行うことが許され、代わりにラーナは王宮の雑用を行っていた。 「国王様は方々(ほうぼう)に手を回して、私の家族を探してくださったわ」  しかしながら、ラーナの家族の消息についてはついぞ詳細な情報が全く入ってこない。ラーナはもう、家族との再会を諦めかけていたのだが、 「先日、吉報が入ったの」  ラーナの声は真剣だ。これまで興味なさげに聞いていたリールだったが、その真剣な声音に思わず顔を上げる。すると声音に負けず、真剣な表情をしたラーナと目が合った。  ラーナはリールから目を逸らすことなく言う。 「弟だけがね、見つかったの。場所は、アトランス帝国王宮内の、地下牢」  真っ直ぐな視線に射貫かれたリールは驚きで目を見張る。 「それって、まさか……」
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