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「最っ悪だぜ! なんでまた、次のパートナーがお前なんだよ?」
リールと再会したばかりのヴァルリの言葉は剣呑としていた。
ここアトランス帝国のある大陸は、古より魔物が多く出没していた。それらの魔物を封殺できるのは年若い少年たちばかりだ。選ばれた少年たちは『ピュールヘルツ』と呼ばれ、王宮内に住みながら日夜修行を行っている。
ピュールヘルツは二人一組のペアで行動することが原則だ。それは先にも述べたように、多くが年若い少年たちだからだ。アトランス帝国国王は彼らを危険から守るため、そして正確な任務遂行のためにこの決まりを設けている。
その意図は十分にこのヴァルリ少年も理解していた。
問題はそこではない。
再び目の前にパートナーとして現れたこの男、リールが問題なのだ。
それは数年前。
初めてヴァルリがリールとペアを組んだ時のことだった。その年はヴァルリにとって厄年と言っても過言ではなかっただろう。リールの無茶な作戦に付き合わされ、散々振り回されたのだ。しかし幸か不幸か、その年でいちばん魔物を封殺したペアがヴァルリたちだったため、諸悪の根源であるリールはケロリとして『結果オーライ?』などとのたまった。
それを聞いたヴァルリが我慢の限界に達し、とうとう現国王であるラジェルへと直談判をした。
「こいつと、二度と、ペアにさせないでください!」
ラジェルは困ったように笑っていたが、自分たちの即ペア解消を行ってくれた。
それなのに、だ。何故コイツがまた自分の前に立って、飄々と挨拶を交わしてくるのだ?
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