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リールは埃っぽい空気が張りついたカラカラに渇いた喉をようやく開いて声を上げた。ラーナはそんなリールから目を離すことなく、大きく頷く。
「そう。リール、君が私の弟なの」
断言されたリールの目は更に大きくなる。
幼い頃の記憶など、リールは持ち合わせていないのだ。もっとも古い記憶では、リールは既に刃物を持ち、人を殺めている。そんなリールへ、ラーナは今、自身が姉であると宣言したのだ。
リールが絶句していると、
「突然で、驚くのも無理ないと思う。だけど、本当なの」
真っ直ぐに言われ、リールが目を白黒とさせていると、その場を見計らったかのように地下牢の扉が開かれた。こんな場所にやって来る人物は一体誰なのか。気になってリールがラーナの背後にある扉に目をやると、そこには、
「国王……!」
暗く埃っぽい地下牢には不釣り合いな、アトランス帝国国王の姿がそこにはあった。リールは暗殺のターゲットとの対面に思わず立ち上がり、牢の柵を両手で掴んで殺気立っている。
「リールっ!」
傍にいたラーナがリールをいさめるようにその名を呼ぶ。しかしリールは牙を剥き出しにした獣のように国王を柵越しに睨み付けている。
国王はと言うと、そんなリールに笑顔を向けている。そのまま柵の前まで移動してくると、
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