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トイレから出てくると、通路の先で、二人の男性社員が立ち話をしていた。
ヨコオ株式会社の記念すべき第一号店。全店舗の中で唯一の二階建ての本店は、一階が店舗、二階が本社のオフィスになっている。
歴史あるお店とはいえ、改装を最後に施されたお店なので、内装はまだ新しい。でも、そっくり建て替えられたわけではないから、よく見れば、壁や柱にはヒビが見て取れる。従業員が自由に行き来できる階段にも、ところどころに染みがあって、経てきた年月の長さが垣間見えるのだった。
腰の位置より高いカウンターを挟んで、通路とオフィスフロアに別れて立つ二人は、真剣な表情。立ち話とは言っても、息抜きの雑談ではないらしい。
通路側にいる男性は、すらりと長身。濃いグレーの細身のスーツに、社名のロゴが入った紺色のスタッフジャンパーを羽織っている。
尖った顎、切れ長の目。
無駄のなさを感じさせる外見が、「福永周平」という名前とマッチしていると、日頃から感心していた。
向かいにいるのは、田嶋さん。
福永さんと同じ商品部に属す、スーパーバイザー。本来はバイヤーたちを取りまとめることが仕事だけど、もっぱら雑用係だ、と本人はよく笑って言っている。
福永さんの部下にあたるわけだけど、確か、田嶋さんのほうが二つ年上だって聞いた。中途採用で入社したことが関係しているのかもしれない。
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