【3】MANAGER side

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帰宅したのは深夜0時を回っていた。 「ただいま」 「お帰り、ちーちゃん」 「何だ、まだ起きてたのか」 リビングのソファに寝転がっていた千尋が、読んでいた雑誌をテーブルに置くと 「…ちーちゃん、どうかしたの?」 両手で挟む様に俺の頬に触れた。 俺より少し細いその手首を握って笑う。 「大丈夫だ。ちょっと疲れただけだよ」 「…やっぱり、ラジオの仕事の所為?」 「……違うよ。千尋は何も心配しなくて良い」 「でも…」 「そんな事より、晩メシ作ってくれたんだろ?」 「うん。温め直すから、その間にシャワー浴びてきなよ」 千尋に小さく礼を言うと自分の部屋に足を向けた。 食事を済ませソファに座ってスケジュールの整理をしていると、隣に千尋がピッタリ寄り添う様に座った。 「ねぇ、ちーちゃん」 「ん?」 「中塚さんてちーちゃんの恋人でしょ?」 飲んでいたお茶を盛大に噴き出してしまった。 「わあっ?!ちょっ、ちーちゃん!大丈夫!?」 「ゲホッ!!…なっ、えっ、ゲホッ!ちひっ…」 「布巾…あ、ティッシュで良いよね?」 噎せて動けない俺に代わって千尋はテキパキと動き、テーブルの上も俺の周りも綺麗に拭くと 「ちーちゃん、さっきの話だけどそうなんでしょ?」 再び俺の隣に腰を下ろし、そのキラキラした愛らしい瞳で俺を見た。 「……そんな訳…無いだろ…」 「あ、ちーちゃん嘘吐いた。昔っから俺に『嘘を吐いたらダメだ』て言ってるちーちゃんが嘘吐いた~」 「別に、…嘘なんて」 「吐いてるよ~。俺には分かるもん。大っ好きなちーちゃんの事だよ、当たり前じゃん」 拗ねた様に唇を尖らせる千尋を見る。 こんな千尋を可愛いと思う。 一昨日の夜の、唇をへの字に曲げて突き出した大希を思い出す。 愛おしいと想うのは大希だけなのだ……あの眸がそう思わせるんだ… 「…千尋」 「うん」 「……誰にも言うなよな」 「うん!ちーちゃんと中塚さんと俺だけの秘密だね」 「絶対に絶対だぞ」 「分かってるって~。それからちーちゃんてさぁ」 「何だよ」 「確実に “抱かれる側” でしょ?」 「うっ、五月蝿い!!さっさと寝ろ!」 手近にあったクッションを千尋に投げつけた。
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