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しかし、すぐに考え込むような表情に戻ってしまう。
ガイアスの始めてみる表情に少し不安になる。
先程はあんな風に言っていたが、もしかしたら青い鳥は幸運ではなく不幸を運んでくる...なんてことはないだろうか?
俺まで考えだし、二人して首を傾げているとガイアスが先に口を開いた。
「ザリウス。青い鳥は絶滅寸前の貴重な鳥なんだ。」
絶滅寸前の貴重な鳥。俺は抱えていた青い鳥を一瞥し、ガイアスに目を戻した。
ガイアスは俺が聞いていることを確認すると、真剣な面持ちで話を続ける。
「自然治癒力が乏しい代わりなのか、他者の傷を癒す力を持っている。」
他者を癒す力。やはり青い鳥には幸運をもたらすと言われているだけあって、強力な力を持っていたようだ。
「他者の傷を癒す力は俺達人間にとって、最高な力だった。それを知った商人達は、青い鳥を捕って冒険者や王族に売っていた」
ガイアスの顔が苦しそうに歪む。当然のことだ。
人間が生きるために他の生物を犠牲にする。
それを平気そうな顔で言う方が間違っているのだ。
「だが、青い鳥も生き物だ。他者の傷を癒せば体に大きな負担がかかる。」
なるほど、負担が大きくなれば青い鳥は死んでしまうという訳か。
俺は一人納得し、青い鳥に目を向ける。痛みはあるだろうが血も固まり、穏やかな顔で眠っているようだ。
人差し指で顔を撫でるとくすぐったそうに身をよじる青い鳥。それを見ると俺の心は癒された。
俺が青い鳥に癒されていてもガイアスの話が終わるわけではない。
「それに青い鳥はこう見えても魔獣だからな」
「魔獣?」
新たに出てきた単語に頭の中に疑問符が浮かんだ。
魔獣。名前の通り魔力を持ってる獣なのだろうか。
それとも全く違うものなのだろうか。
「魔獣が気になるみたいだな」
考えていることが顔に出ていたのか、ガイアスに声をかけられた。
立ち話も疲れるだろうと言い、ガイアスは近くにあった岩に腰を掛けた。
俺も近くにある小さな岩に座るとガイアスは魔獣について説明を始めた。
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