1話 これが俺の日常

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1話 これが俺の日常

 俺は、カーテンの隙間から差していた明かりによって目を覚ました。  目を擦りながら寝具から体を起こす。  体を起こしたものの、今日は日曜日。  何もすることもなく少しの間、壁をじっと見つめた。  暫く見つめ、時間が気になり近くに置いてあるスマートフォンの電源を入れ確認する。  起動し画面が写し出された。  画面には6時27分と書いてあり、いつもより少し遅く起きたようだった。  俺は一度伸びをしてから、上にかかっていた布をどけた。  寝具の軋みを感じながら、床に足を着き立ち上がる。  俺はもう一度伸びをしてからドアノブに手をかけ、扉を開ける。  まだ誰も起きていないのか、廊下は明かりがついておらず薄暗く感じた。  俺は眠気を覚ます為、洗面所へ向かった。  洗面所へたどり着き、洗顔と歯を磨く。  歯を磨き終えると眠気は何処かに消え、頭も体もスッキリしている。  洗面所を出て、朝食を作るためにリビングへ。  中に入りキッチンへ向かうのだが、その前にすることがある。  リビングの奥へ向かい、仏壇に手を合わせる。  数年前に持病で亡くなった兄の仏壇に。  それを終えて、朝食を作ろうと立ち上がったその時、上の階から物凄い音がした。  だがいつものことの為、俺は気にせずキッチンへと向かう。  スマートフォンの画面をつけ、時間を一応確認する。  もう7時を回っていた。  確認をし終え、スマートフォンをポケットにしまうと同時にリビングの扉が勢いよく開く。 「何で起こしてくれなかったんだよっ!」  飛び込んできたのは俺の弟、鬼龍滉雅だった。  正直に言うとただの阿呆である。  俺はため息を吐きながら、朝食の準備を進める。  無視して準備を始めた俺を良く思わなかったのか、滉雅はカウンター越しに話しかけてくる。 「聞いてんのかよ!みなにぃ!」  俺の名を呼ぶ滉雅を、無視するのもさすがに可哀想に思え顔を上げる。  良く勘違いされるが、俺の名前は“みな”という女のような名前ではない。  俺の名前は鬼龍湊。  あだ名で、“みな”や“みなちゃん”などと呼ばれるが俺は決して女ではない。  そういえば、滉雅が何故こんなにも慌てているのかが分からなかった。 「滉雅お前、何をそんなに慌ててやがる?」  俺は必要なものを取りに行って戻ってきた滉雅に、出来上がった朝食を出しながら聞いた。  滉雅は口に詰めたパンを牛乳で流し込み俺の質問に答えた。 「そんなの“終焉のカタストロフィ”の発売日だからに決まってんだろ」  呆れた顔で言われたが、何を言っているのか瞬時に判断できなかった。  だが、その名前を何処かで聞いたことがある。  確か新作のMMORPGだった気がする。
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