0人が本棚に入れています
本棚に追加
湿った風が私の頬を撫で、ついでに髪をかき乱して肌をチクチクと刺激してきて不快な感覚を残していく。この時期特有の生温い風に悪態を吐きたくなる。
だが、「風があるだけマシよ」と言う母の言葉を思い出して、なんとか思い留まる。
それにしても、夏休み前の授業ほど身に入らないものはないと思う。だって授業の半分くらいが夏休みの課題の説明になるし、有難い薬物乱用の講習とか聞かされるし。
まぁ、夏休み前だからって浮かれて聞いてないだけなんだけどね! 真面目な子はちゃんと聞いてて、将来に役立てようとしているから。一括りにはしてあげないでください、不真面目な私が悪いのです。
それ以上深く考えると、将来のことを何も考えていない自分を自己嫌悪してしまう未来が見えた私は、現実逃避するように外の景色を眺めた。
空は見事な青と白のコントラストで彩られている。私が画家であったら思わず「夏らしい!」と描きたくなるようなものだった。美術の成績が「2」の私では、その素晴らしさを表現できる画家になるのは無理な話だが。
こんな無駄なことを考えて、授業を聞いていない私を叱咤するかのように「キーンコーンカーンコーン」と軽快なチャイムの音が鳴り、授業の終わりを告げた。
授業の後半、ほとんど話を聞いてなかった。やばい。
最初のコメントを投稿しよう!