プロローグ:長老の話

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プロローグ:長老の話

みんな、集まっとくれてありがとなぁ。 今日はお前らに話があるんじゃ。 もうすぐ、ローナに国を乗っ取られてまう。 それを防ぐ話じゃ。 その前に、ある昔話をしてやろう。 よく聞いてな、、。 むかーし、むかし。 この国と、隣の国 Paese delle fate―。<フェアリーランド> で、戦争が起こったんじゃ。 きっかけはみんなも知ってるじゃろう。 魔女、ローナがあの(・・)禁断魔法を使ったからじゃった。 隣の国の住人全員が不幸になって、、。 でも、隣の国の王子、クレアとこの国の姫、ルリが湖に魂を捧げたことで、戦争は終わった。 みんなは戦争が終わってから生まれてきたから、辛さは分からなかったじゃろうなぁ。 国同士が憎み合い、怒りをぶつけ合う姿。 みんなの身体が転がっている国。 誰かの、、。ローナの高い笑い声。 凄く、、凄く辛く、、。 あ、ごめんのぅ、話が逸れたの。 ローナの魔の手を断つには、お前たちの親の魂が必要じゃ。 そして、お前たちの、、 お前たちの親の魂は、ルリの森の奥にある。 あんだと? 死んだんじゃないの? だって? 死んでなんかねぇ。 ローナの禁断の魔法のせいで、魂がローナに入っていっただけなんじゃ。 でも、百年に一度。 魂は元々の場所、ルリの森のクレア湖で戯れる。その時はローナはそこに入れない。 禁断の魔法を使うことができる。 その極意を知っている。 そして、使ったことがある、、。 この三つが交われば、クレア湖の結界の中まで追いかけられない。 わしは歳を取ってしまったから無理でのぅ。 そして、あと一ヶ月で、一週間だけルリの森の扉が開く。 気付いた子もおるじゃろ? ルリとクレアが魂を捧げた、祭日の日。 その週だ。 みんな、よく聞いとくれ。 絶対に、、絶対にローナにこの国を渡さないように、外界から男の旅人を連れてきてほしい。 魂を捕まえられるのは、この国以外の所からきた男しか無理じゃ。 じゃがな、ローナは必ず魔法を使って邪魔をしてくるだろう。 じゃから。 魔力が強い、、チカラを秘めている男を探せ。 そうすれば、必ず食い止められるじゃろう。 リナ。 お前はクレアとルリの血を引くじゃろう? お前には、お前も知らないチカラがある。 それは、必ずお前の助けになるだろう。 お前が探して来ておくれ。 みんなも手伝うのじゃよ。 こっそり、、 ローナの眠りが醒めないように。 光が、届かないように。 影を照らす、光を漏らさないように。 さあ、行け。 勇者を、、勇者を連れてくるんじゃ。 光を授けてくれる勇者を。 そして、、 この、Terra magica<魔女の園> という名を変えるために。
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