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その頃、ホタル城では…
赤黒い血のような色をした薔薇が白く神秘なイメージだったはずの城を埋めつくし、ただ1つ開いている門には口から血を流した死霊が守衛として立っている。その城は、とてつもなく禍々しい空気で満ち溢れていた。ローナがここに来てからずっと客は来ていない。
そして、門の奥、螺旋階段の先には、恐ろしい空気が充満する王室がある。
「うふふふふふ、はははははっ!」
扉の先には美しい女性が王座に座っていた。
その美女は大人の色気を持ち合わせていて、妖艶な身体つきをしている。全てが整っている美女。顔だけは紫のヴェールで隠されていたが、薄く見える顔はとても綺麗な美貌をしていることが容易に想像できる。
しかし、口から漏れでる美声は少女の様に澄み高い。
手元には水晶玉があり、中の紫色の煙が渦巻いている。よく目を凝らすと、レナと翔が特訓している様子が映し出されていた。すると、レナは何故かこちらを向き、光でこちらを射た。すると瞬く間に間に映像が乱れ、中は紫色の煙しか見えなくなってしまった。
その様子を見ていた美女は、フッと笑うと二回手を叩き何かを呼んだ。
「はい。なんの御用でしょうか。」
それは、整った顔をした美男。でも、どこか冷たい微笑を携えている。
「貴方の下僕がまた見つかってしまったわ。貴方もまだまだね。」
すると、男は直ぐに弁明をし始めた。
「申し訳ございません。では、貴女様の邪魔にならぬようもう一人差し向けましょう。今度はなかなかやられないものを用意致しました。中級悪魔なのでご安心を。では、失礼。」
すると、ニヤリと笑ってから霧のように消えてしまった。
「ククク、、。リナ、待っていなさい。私が直ぐに行ってあげるわ、、。それにしても、柚月翔というのは一体誰?そろそろ届けてくれても良いくらいだと思うのだけれど、、。」
すると、急に王室に何かが入ってきた。それは、死霊。
「ブブ、ビャビュビュッ!ビュービョビョボォ!!」
すると、ローナはクスリと笑った。
「ほう、、。驚いたわ。人間界にあのような魔法を少しでも使える者がいるのは驚いたが、まさかあいつらの息子なんてね、、。これは私の作戦にも邪魔をしてくるかもしれない。けど、どちらにしても、それは丁度良いわね。私が、、いや違うわ、、。でも、、ハハッ!!面白い。あぁ、君。今からアイツにやっぱり悪魔を送るのは止めろと言ってくれない?どれくらいの実力だか知りたいからね。」
すると、死霊もブブッと言って去っていった。
すると、美女はもう何も見えなくなった水晶玉を撫でて、ヴェールの下で薄く見えるピンクの唇を歪ませた。
ふふっ。待ってなさい。可愛い可愛いリナ。
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