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川べりの話
川べり公園のベンチで
風に吹かれおさるが座っていた
肩ひじをつき
もわもわの毛を揺らし
物思いにふけっているようだった
目の前で小鳥が枯れ葉の中
木ノ実を見つけ
楽しそうにつついていた
おさるとあたしは
それをじっと眺め
だぁれも逃げないので
おさるの横に腰掛けると
あたしも物思いにふける
―いい天気だ
おさるが心に語りかける
―うん、はい
あたしもうなずく
いつしか
あたしもこざるになっていた
夕暮れが近づき
あたしはあたしに戻って
ベンチから立ち上がり
さようならと歩きだした
しばらく歩いて振り向くと
ベンチに座っていたのは
茶色い髭もじゃの
小さい妖精だったかも知れない
遠くまで歩き
もう一度振り向くと
暗くなり始めた空に
小鳥とよだかの鳥が
二羽とも
空高く飛び立っていった
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