4.

1/3
前へ
/32ページ
次へ

4.

街路樹とお洒落な店に挟まれ、タイルのような石が敷き詰められた歩道すらも美しい丸の内仲通りを歩きながら、お酒なのか長谷部さんになのかわからなくなる程火照った頬に心地良い風が吹く。 私には自信に満ち溢れ、輝いてるように見える人達が多く行き交う、いかにも安全そうな道を送って貰っていた。 「勤務先がこんなにいい所だと、通勤の怠さもだいぶ違いますよね」 「本当にそうですね。 歩いてるだけで凄く幸せな気持ちになります」 普段は地下鉄を利用し、地下通路と直結のオフィスビルのため、この雰囲気を満喫どころか全く見てもいなかったりするのだが、それでも長谷部さんに言ったことは、嘘では無い。 隣に長谷部さんがいて、この周りの雰囲気。 今まさしく幸せな気持ちでいっぱいだからだ。 「この先でよかったですか?」 「はい。たぶんそうかと…私いつも地下を歩いてしまっていて…あっ、そう、あっ、此処、此処で大丈夫です」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加