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こんなことってあんまりじゃないかと思う。
この世に生まれて20年。
とびぬけて何か恵まれた才能があるわけではないが、自分なりに真面目にコツコツ頑張ってきた。
何かに恵まれたわけではないからこそ、努力が必要だとわかっていた。
だからこそ日頃からコツコツと勉強して、成績は中の上をキープしていたし
運動も苦手だったけれど、体育祭の時はせめてクラスの足を引っ張らないように運動の得意な子にお願いをして早く走るコツを教えてもらったり、二人三脚で転ばないように相棒と二人で放課後練習したりもした。
容姿に恵まれたわけでもなかったから、せめて小奇麗にしていようと身に着けるものにはアイロンをかかさなかったし、
友達にも嫌われないように、皆の輪からはみ出さないようにいつもニコニコ笑うことを心がけていた。
私を評価する時、周りの大人はいつも「いい子」と評価した。
「真面目でいい子ね」「素直だね」
普段とびぬけて目立つわけではない私が唯一褒めてもらえること。
だからこそ、その言葉はとても甘く聞こえたし、
真面目で素直なことがとても魅力的なことなんだと信じていた。
そして努力の成果もあって、私は学生生活の間「真面目でいい子」の立ち位置をずっとキープし続け、何の問題もなく学校生活をすごした。
ところがどっこい、なんだこれは。
就職活動で受けに行った会社からの「今回はお見送り」という言葉の数々。
こっちは必至に就職活動を頑張っているというのに、遊んでばっかりいた短大の友達はあっさりと内定をもらってあとは卒業を待つのみ。
就職活動をしようともせず、その恵まれた容姿を利用してお金持ちの彼氏と結婚、なんて子もいる。
ちくしょう、あいつら楽ばっかりして。
いつか絶対後悔するぞなんて、内定を1つももらえてない自分がいっても負け犬の遠吠えにしかならないことなんてわかりきっていたからぐっと口をつぐんだ。
それでも真面目に頑張っていれば、きっと誰かが見てくれているんだ。
そう信じて、私は再び履歴書にペンを走らせるのであった。
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