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その日俺は、終業時刻ジャストで仕事を終えると、ダッシュで家に帰った。
(えーっと、まず昨日のことを謝って……。あー! 許してもらえるのか、俺……)
とりあえず、桜子が来たらコーヒーでも飲んでもらおうと思い、電気ポットでお湯を沸かしていると、玄関チャイムが鳴った。
インターホンに向かって「はい」と言うと、
『桜子です』
との答えが返ったきた。
ドアを開けて「いらっしゃい」と桜子を部屋に招き入れる。
「……お邪魔します」
俯きがちに桜子が入ってきた。
桜子はリビングでいつも自分が座る位置に、いつも通りに座った。
「……」
「……」
ちょっと気まずい中、俺はコーヒーを入れて、テーブルに置いた。
「どうぞ」
「ありがと……」
そしてまた沈黙。
……俺は意を決して桜子に向かって頭を下げた。
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