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「どうした? 智明。顔が変だけど。」
次の日の昼。ぼーっと『本日の定食』のサバ味噌をつついていたら、颯太がトレーを持って来て、俺の向かいに座りながら聞いてきた。
「顔が変って、あのなあ……」
俺はため息をついて、颯太を見る。
確かに昨日の桜子とのケンカの後にあれこれ考えて過ぎて、ちょっと寝不足だった。
「桜子と……彼女とケンカした。あいつ浮気なんかしてなかった」
そう言って、俺は昨日の出来事を颯太に話した。
「へえ……。そんなことがあったんだ……」
「あー! 浩佑が絶対浮気って言うから……。あいつに文句を言わないと怒りが収まらねえ。なんで今日休みなんだよ!」
俺はがつがつと白飯を口に入れる。
颯太が箸を置いて、俺をじっと見た。
「……あのさ」
「……何だよ?」
「浮気かもって思ったのは、智明だよね」
「は? 浩佑が浮気じゃないかって言うから俺は」
「俺は違うんじゃないかって言った。浩佑の意見を取ったのは智明だ」
颯太は咎めるような顔で俺にそう言った。
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