彼女が俺に隠しごとをしている件

8/14
前へ
/14ページ
次へ
「どうした? 智明。顔が変だけど。」   次の日の昼。ぼーっと『本日の定食』のサバ味噌をつついていたら、颯太がトレーを持って来て、俺の向かいに座りながら聞いてきた。 「顔が変って、あのなあ……」  俺はため息をついて、颯太を見る。  確かに昨日の桜子とのケンカの後にあれこれ考えて過ぎて、ちょっと寝不足だった。 「桜子と……彼女とケンカした。あいつ浮気なんかしてなかった」  そう言って、俺は昨日の出来事を颯太に話した。 「へえ……。そんなことがあったんだ……」 「あー! 浩佑が絶対浮気って言うから……。あいつに文句を言わないと怒りが収まらねえ。なんで今日休みなんだよ!」  俺はがつがつと白飯を口に入れる。   颯太が箸を置いて、俺をじっと見た。 「……あのさ」 「……何だよ?」 「浮気かもって思ったのは、智明だよね」 「は? 浩佑が浮気じゃないかって言うから俺は」 「俺は違うんじゃないかって言った。浩佑の意見を取ったのは智明だ」  颯太は咎めるような顔で俺にそう言った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加