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プロローグ
叶わない恋は、一体どうしたらいいのだろう。
私の好きな一樹先輩には、好きな人がいて。
その好きな人は、私のお姉ちゃんで。
中学2年生になって気付いた悩みに、1人でずっと考え続けた。そして1年の時間をかけて私が出した答えは、
変わらない、だった。
中学3年生になっても、一樹先輩と仲の良い幼馴染としている、そう心に決めた。それで時々で良いから、いつものように一緒に遊んだり、話したりして、楽しい時間を過ごすの、一樹先輩の幼馴染として。
小学生のころからずっとそうしていたのだから。お姉ちゃんと、樹先輩が高校を卒業するまでそのつもり。そしてその後もずっと……。
幼馴染の私のままで。
それで、良いの。
中学3年生になってからの半年間、自分にそう言い聞かせてきた。
なのに私は――、
一樹先輩にとって、高校最後になる文化祭で、
『好き』って告白してしまうの。もちろん、フラれるのだけど。
すごくつらくて、悲しくて、悔しくて…………。色んな感情が交ざり合っていっぱい泣いちゃうんだけど。
でも私は後悔していない。
『好き』って伝えた大切なあの日を、私は忘れない。
そして『好き』って伝える勇気をくれた、私の背中を押してくれた――、
縁結びの神様との出会いを、私は忘れない。
お人よしで、すごく優しくて温かい、でももう会えない。
『命ちゃん』と過ごした大切なあの日を私は――、
忘れない。
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