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✱涼宮視点
「…よく言うぜ。何が疲れてる、癒しが欲しいだよ」
俺は目の前の神宮寺を軽く睨みつける。
「なんです?嘘は言っていませんよ。貴方が仕事をサボっていたせいで私に仕事が回っていたのも、入学式の日に夏澄さんと運命の出会いをしたのも真実ですから」
「大体お前のテンションにビビったわ。あんなベタベタするキャラじゃねーだろお前」
「ヤンキー更生理論ですよ。最初の印象が良くない方が少しいい事や真面目ぶっただけでいい印象を与えやすいんです。最初からボディタッチを多くしておけばそういう人なんだと認識してくれて触れやすくなりますから」
先程まで夏澄達に浮かべていた穏やかな笑みをとっぱらい、氷のような冷たい視線で神宮寺が俺をじろりと睨む。
確かにコイツの外面の良さは完璧だ。どんなに機嫌が悪くても一方生徒会室の外に出ればよくもまぁそんなに愛想を振りまけるんだと言うくらいニコニコニコニコ気持ち悪いくらいに。
だが、それで癒しが欲しいとかコイツはそんなキャラじゃない。ただ単に、作り笑いをしている事を夏澄に見破られて夏澄を気に入り自分のものにしようとしているだけ。
「見事な演技っぷりだったぜ?ま、夏澄が生徒会室に来る名目を作ってくれたんで黙ってたけどよ」
「…あそこで邪魔してきたら許しませんでしたよ。……それに」
バン、と神宮寺が大量の紙を俺の目の前に叩きつけた。
「貴方の仕事のせいであの時疲れていたのは本当ですので。この仕事、きちんとやってくださいますよね?生徒会長様」
「……最悪」
にこりと寒気がするくらい綺麗な笑顔を作った神宮寺からはヒシヒシと逃がさないという殺気が出ている。
俺は諦めて目の前の紙に目を通し始めた。
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