新しい出会い

4/16
前へ
/68ページ
次へ
✱蓮視点 寝る前、俺はカスミの部屋に向かった。 寮とは言っても部屋は広く、個々にしきりがついていてベッドもそれぞれの空間に1つずつだ。 ……もどかしい。ずっとカスミと一緒にいたい。 「…カスミ?寝た?」 「もう寝ようかなって思ってたとこ」 カスミが綺麗な顔で笑う。 初めて見た時から綺麗な人だと思ってたけど、それだけじゃなくて俺はカスミの中身が好き。一緒にいると安心する。この人は俺をちゃんと見てくれるって。 記憶喪失になって、前の俺と違うかもってカスミは心配してたけど何も変わってない。優しくて綺麗なカスミのまま。 カスミの優しいけど凛とした声が好き。俺の頭を撫でてくれる細くて小さい手が好き。皆がビビって目も合わせない俺を、堂々と見つめてくる綺麗な透き通った栗色の瞳が好き。抱きしめたら折れちゃいそうな男にしてはほそっこい体も、ふわふわと柔らかい髪の毛も、俺からすれば愛おしくてたまらない。 ずっとあの日からカスミに会いたくて待っていたからかもしれないけど、久々に会ったカスミは眩しくて優しくて俺は更にカスミが大好きになっていた。 「…一緒に寝たい」 俺がそう言うと、カスミは不思議そうな顔をする。そんな顔も可愛い。 「人肌ないと、寝つき悪いから…」 ……嘘。1人で寝れる。でもカスミと寝たい。これくらいの嘘、きっと神様も許してくれる。 「ええ、甘えただなぁ」 その言葉に断られるかもってドキドキして。 …勇気出してきてみたけどやっぱ男同士で一緒に寝るなんて普通ないし。俺だってカスミ以外だったら絶対嫌だし。 「んー…まぁいいか。どうぞ」 カスミが腕を広げる。俺は自分でも分かるくらいぱあ、と表情が明るくなってカスミの腕の中に飛び込んだ。 「ほんとに蓮はわんこだなぁ」 カスミがそう言いながら俺の頭を撫でてくれる。髪の毛をさらさらと滑っていく指が気持ちよくて、俺はカスミのお腹に顔を填めた。今はまだわんこでもいい。 1番近くでカスミを見てたい。 「……カスミ、おやすみ」 「おやすみ」 俺は大好きな人の腕の中で、幸せな眠りについた。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

500人が本棚に入れています
本棚に追加