新しい出会い

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「そんでなんでここに居るんですか。アンタらのせいでギャラリー凄いですよ」 「知らねーよ勝手に集まってくるだけだし」 ……はいはいイケメンはこれだから。 「いえ、ちょっとしたお誘いが。今日放課後生徒会の集まりがあるのですがそこに来ていただけないかと」 「生徒会の集まりに俺が…ですか?」 生徒会の集まりって生徒会だけでやるんじゃ? 「はい、美味しいお菓子が手に入ったので是非夏澄さんにもと思いまして。…まぁそれは名目で、涼宮が仕事するように居て欲しいんです。駄目でしょうか?」 …なるほど。 ちゃんと仕事しろよ生徒会長、なんて思いながら涼宮を見れば「お前が来ないなら仕事しねぇ」なんて子供みたいなことを言っている。 はぁ、とため息をつく。こんなワガママ野郎が生徒会長だなんて神宮寺先輩が可哀想だ。涼宮は蓮を猛獣だとか言ってたけど、蓮の方が何倍もお利口じゃん。 「分かりました、神宮寺先輩の過労を和らげるために俺頑張ります」 「夏澄さんならそう言ってくれると思っていました。では、放課後迎えに…」 「カスミ!行っちゃヤダ」 神宮寺先輩がそう言いかけた時、蓮が焦ったように俺を抱きしめる。 「行くなら俺も一緒に行く」 「駄目です、生徒会室には大切な資料などもありますので一般生徒を何人も入れる訳には行きません」 ピシャリと響く神宮寺先輩の冷たい声に、俺の頭の上でバチリと火花が散ったのが分かった。 「わざわざ呼び込んでカスミにするつもりだよ」 「失礼な物言いはやめてください。ただ来てもらうだけですから……まぁ、そこで何か起こったとしても貴方にはと思いますけどね」 神宮寺先輩の挑発したような言い方に蓮が拳を握ったのがわかる。…まずい。こんな所で喧嘩になったら蓮には前科があるからまた謹慎になるんじゃないか?しかも相手は副会長だし、今度は退学とかになったら…。 「ふざけ「蓮!!」」 殴ろうとしたのかは定かじゃないが、蓮がぐっと体を前に出した。俺は思わず振り返り、蓮の顔を両手で包み込む。そのままぐいっとレンの顔を近づけ、目を見つめる。 「おいっ顔近すぎだろ!」 涼宮が後ろから何か言っているが無視。今は蓮を落ち着かせる方が先決だ。 「喧嘩しないって約束したよな?」 俺がした行為に驚いているのか、目をぱちぱちと開閉する。 「でも…」 「でもじゃない」 「…………喧嘩しません」 「よし」 殺気を収めてしゅんとしたので、俺は蓮の頭を優しく撫でた。 「それから神宮寺先輩!蓮を煽るのやめてください!」 俺が振り返って少し大きな声でそう言うと、神宮寺先輩は珍しく表情を崩してポカンとした後、いつもの静かな笑顔とは違い大きな笑い声を零した。 「ちょっと俺怒ってるんですよ!何笑ってるんですか」 「はぁ、やっぱり香澄さんは面白いですね。人前でこんな風に私を叱った人初めてです」 そんなに楽しい事だったのか、ニヤニヤと俺を見つめる神宮寺先輩。俺は自分の置かれている状況にハッとして周りを見渡した。 沢山いるギャラリー、その全ての視線が俺に注がれている。
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