新しい出会い

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▧ ▦ ▤ ▥ ▧ 放課後、俺は1人で廊下を歩いていた。生徒会室に行かなければいけないけど、今日は1人で行かなくちゃいけないし。 おいしいお菓子貰えるからいいけど、部外者の俺が生徒会室に入り浸っていていいんだろうか? 「ねぇちょっと、君が夏澄ちゃん?」 名前を呼ばれ振り返る。ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべた男達が3人ほど、俺を見ている。 「…はぁ、そうですけど」 「うわ、ホントに可愛いね。噂通り」 「そりゃ生徒会の奴らもお気に入りにするよな」 「噂じゃ記憶喪失なんだって?」 口々に話しかけてくる男たちに困惑していたら、いつの間にか壁際に3人に囲まれるような形になってしまう。 「あのー、俺今から生徒会室に行かなきゃ行けないので」 「えーっ、今からお楽しみタイム?」 「お楽しみタイム?」 なんだそりゃ、俺はこれから涼宮が仕事サボらないように監視しにいくだけだけど。もしかしてコイツら親衛隊か?親衛隊からすれば監視もご褒美的なアレなのだろうか。 「ずるいよな生徒会の奴ら独占してさ」 「ねぇ、俺たちにもサービスしてよ」 ……サービス???? 本格的に何を言っているのか分からない。 「……俺急ぐんで」 関わる必要ないなと、横をすり抜けようとした時1人に手首を掴まれる。思わず眉間に皺がよるが、男達はそんな事お構い無しにジロジロと俺を見ている。 「わーほっそい手首だねぇ、こんなんじゃ襲われた時逃げらんないね」 「離せよ」 俺が睨みつけると、男はよりニヤニヤと笑う。 「ヒュ〜♪この状況で強気だね〜?」 「俺抵抗されると燃えるタイプ」 「一丁前に睨んじゃってるけどそれ逆効果だよ」 ……まずい、コイツらの言ってることが1ミリも分からない。突然腕掴まれて離せって言ったらニヤニヤしだして、なんなんだ。この学園にはおかしな奴しかいないのか? 「何されるか分からないって顔してるぜ」 「記憶喪失でそっち系の記憶もなくなっちゃったとか?w」 「じゃあまだ生徒会の奴らも手ぇ出てないってことじゃね」 「処女?めっちゃ興奮する」 ……処女?! 飛び出した言葉に目を剥く。それと同時にこいつらが何を言っているかようやく理解できた。そうだった、この学校男同士でそういう事する奴が多いんだ。 さぁ、と顔から血の気が引くのがわかる。 「ありゃりゃ、ようやく状況理解した?」 「叫んでも無駄だよ、この廊下滅多に人通らねぇから」 「通っても先生以外なら見逃してくれるって。なぁ?」 「や、やめろよ。離せ。犯罪だぞ」 「ははっ、犯罪だって」 「言うことがいちいち可愛いね〜。」 「大丈夫、警察に行く気も起きないくらい恥ずかしくて気持ちいいことしてあげるからさ」 もう1人の男の手がつつ、と背中をなぞる。その感覚の気持ち悪さにぞわっと肌が栗立ったのがわかった。 …まずい、本当にまずい。 ブンブンと腕を降っても非力な俺じゃ体格のいい男から手を離すことなんてできっこない。
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