新しい出会い

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▧ ▦ ▤ ▥ ▧ 俺が生徒会室に行くというと、高瀬さんは驚いたように俺を見た。 「どうしたんですか?」 「…ううん。じゃあ行こうか、俺も生徒会室に用があって移動してたから丁度よかった」 生徒会室に…?という事は…。 「高瀬さん、生徒会なんですか?!」 俺が驚いた声をあげるとそれにびっくりしたのか高瀬さんが肩を揺らした。 「う、うん。そうだけど…そんなに意外?」 「いや、えっと…。そうじゃなくて。高瀬さんが悪いとかではないんです。ただしってる生徒会の人たちが結構個性的…というか…高瀬さんみたいな常識のある人もいるんだなって…」 失礼なことを言ってる自覚はあるけれど、今まで出会ってきた生徒会の2人、しかも会長と副会長という権力者を思い浮かべる。 「…生徒会って変な人の集まりなのかと思ってました…」 思わず小さく呟くと、きょとんとした後に高瀬さんがふっと楽しそうに笑った。…美形、凄いなぁ…笑うだけで周りがキラキラして見える。 なんか、涼宮が芸能人っぽいイケメンだとしたら高瀬さんは2次元っぽい…というかどこか儚げな、中性的な美形って感じ。神宮寺先輩は日本人っぽい美人さん。 「…君、面白いね。生徒会にそんな口聞く人見たことないかも」 「あっ…ごめんなさい、失礼なことを…」 「ううん。…ふふっ、俺も生徒会は変な人ばっかりだと思う」 や、優しい……!!!! この学園に来てから俺の心の拠り所は幸ちゃんだったけど、高瀬さんもそこに仲間入りしそう。 しかも、あの生徒会長や副会長を「変な人」 と言ってくれる人初めてだ。俺と感覚が近い人をようやく見つけた気がして勝手に親近感。 「夏澄くんだっけ。俺の事、葵って呼んでよ」 「えっ!」 突然の提案に、高瀬さんの顔を見つめる。出会ったばかりなのに下の名前で呼んでいいのだろうか?高瀬さんがいいなら俺はいいけど…。 「…嫌だったらいいんだけど、俺自分の名字あんまり好きじゃないんだ」 そんな俺に気付いたように、高瀬さんは俺を見て微笑む。しかしその笑顔はさっきの楽しそうな笑顔とは違って少し悲しげで。きっと何が理由があるんだろうな、とは思ったけれど、人には言いたくないことの一つや二つはある。聞き出すのも失礼だろうと俺はそう思った。 「全然やじゃないです。じゃあ、葵さんでいいですか?先輩だし呼び捨てはちょっと気が引けるので…」 「うん。ありがとう」 俺が笑顔でそういうと、葵さんも俺を見てまた微笑んでくれた。 葵さんが来てくれて本当によかった。危ない目に会って心臓潰れそうだったし今も思い出すと気持ち悪くなるけど、葵さんが横で喋ってくれるだけで幾分か楽だ。 それにしても、あの男達が葵さんを見てなんで逃げ出したんだろうと思っていたけどようやく納得が行った。あの男達は俺の事を「生徒会のお気に入り」と言っていたから、葵さんも俺を気に入ってると勘違いしたんだろう。そのおかげで助かったな…。 自分がそんな事に巻き込まれるわけないってどっかで他人事みたいに思ってたけど、閉鎖された男子校(ここ)じゃ体格がひょろいだけで襲われかねないんだと知った。…これからは気を付けないと…。防犯グッズでも持ち歩くか? 俺は自分の中で対策を考えつつ、葵さんと生徒会へ向かった。
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