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俺がそう思い俯いていると、涼宮がため息をついて俺の頭をポンと叩いた。
「そんなに心配そうな顔してんじゃねぇよ。絶対どうにかしといてやるから」
「…夏澄さん、呼んでおいてなんですが今日は帰って体を休めてください。…そもそも、今回の非は私達にあります。こうなる事は予想出来ていたのにうかれて先が見えていなかった…」
「そんな。別に2人は悪くないです」
「…優しいですね、夏澄さんは。さ、お菓子はきちんとお渡ししますので同室の上矢くんとでも召し上がってください」
神宮寺先輩はそういうと、オシャレな包みに入ったお菓子を少量分けて俺に持たせてくれる。
本当に2人は何も悪くないのに…。
確かに生徒会室に来るまでの道で被害にあったけど、この感じだと今日じゃなくてもいつか襲われていたかもしれないし、逆に言えば今日生徒会室に向かっていなければ葵さんは通りかからなかったわけだし…。
気を遣わせちゃって申し訳ない。
「葵、夏澄を部屋まで送って欲しい。今日の集まりは終わりだ。送ったらそのまま解散していいぞ」
「はい、勿論」
「……葵、礼を言います。貴方が通りかからなければもっと酷い状況になっていたかもしれませんからね」
葵さんはその言葉に軽く会釈をすると、俺の肩を持って生徒会室の外へ俺を促した。
俺も2人に頭を下げて生徒会室の外に出る。
すう、と息を吸い込んで吐き出すと、色々な気持ちが複雑に混ざりあってなんとも言えない気持ちになる。
襲われた時の事を思い出しての嫌悪感だったり、2人に心配をかけてしまった事への罪悪感だったり、こうやって葵さんに迷惑をかけてしまったり……。
今日上手く眠れるかなぁ。
そう思っていると、歩きながら葵さんがぽそりと呟いた。
「あの二人に気に入られてるんだね、夏澄くん」
…気に入られてる… ?
そうなのかな。
「そうですかね…。俺はなんで気にかけてもらえてるのか、全然分からないんですけど」
「ふふ。……大丈夫だよ、あの人達がどうにかするって言ったなら絶対どうにかなるから」
その言葉が葵さんなりの励ましだということはひしひしと伝わってきた。
そうだな、あの2人が大丈夫っていったならきっと大丈夫。少し心が楽になったかも。
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