新展開

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次の日、蓮は相変わらず俺をクラスまで送る!と朝から意気込んでいた。昨日は反対した俺だけど、あんな事があったので蓮に甘えることにした。 教室についたら蓮はお母さんのように「絶対1人で行動しちゃだめだからね!」と俺に言い残し教室から出ていった。 「夏澄くんおはよう〜。眠たいね〜…」 幸ちゃんがぽやぽやと目を擦りながら俺に挨拶してくれる。幸ちゃんはどうやら朝が弱いらしく、眠たそうなのも可愛い。 昨日俺が襲われかけたってことは幸ちゃんはもっとそういう可能性があるって事だ。幸ちゃんと2人で歩いてる時にそういう目に会ったら俺幸ちゃんを守れるかな…。う、自信がない。今度防犯グッズでも通販しよっかな…。 「幸〜!お願い!ここ教えて!!」 その時、大きな声が聞こえて幸ちゃんの前に大柄な男が現れた。明るい茶髪をつんつんとさせて派手な色のピンで前髪を留め、わんわんと泣き真似をしながら教科書を幸ちゃんに押し付けている。 「……今回だけだからね隆也(たかや)」 幸ちゃんが明らかに不機嫌そうにジト目でその隆也という人を睨みつける。…幸ちゃんそんな顔もしたんだ…。 「幸ならそう言ってくれると思ってたわ〜!俺絶対今日ここ当たるんだよ〜!……ありゃ??もしかして君が夏澄くん?!」 その人は俺の方に目を向けたかと思うとぱあっと目を輝かせ、勢いよく俺の目の前に立ちはだかった。あまりの勢いに俺がたじろいでいると、幸ちゃんが思いっきりその人に腹パンした。 ゆ、幸ちゃん…!? 俺の中の幸ちゃん像が…あ、案外逞しいんだなぁ…。 「こらっ!距離の縮め方が急すぎる!!」 「いてて…だって幸が毎日のように夏澄くん夏澄くんって言ってるからさ〜、なんか勝手にもう友達?みたいな?気分で!」 お腹を抑えながらわざとらしく痛がる隆也という人を横目に、幸ちゃんは俺の手を握りぶんぶんとふった。 「ごめんね夏澄くん、馬鹿がうるさくて!こいつ岡本隆也(おかもとたかや)って言うんだけど僕の幼馴染で、同室の奴なの。ほら同室の奴風邪で寝込んでるって言ったでしょ?ようやく熱下がったから今日から登校。馬鹿だけど悪い奴ではないから仲良くしてやって…!」 「あー、言ってたね風邪の同室のお世話しなきゃいけないって…岡本くん、これからよろしくね」 俺がそういって微笑むと、岡本くんはハッとした顔で俺の顔をまじまじと見つめた。 「隆也でいいよ!ていうか幸、この子幸がいっっつも言ってる総受けにぴったr……」 そこまで言った時、鈍い音がして次は岡本くんが脛を抑えて蹲った。今度は本当に痛いらしく声にならない声をあげている。 「やめてよっ!夏澄くんはそんなんじゃないもん!!」 「えっ、幸もしかして何も喋ってないの?!へーっ!」 「ソウウケ…?」 俺が目の前の光景にビビりながらもよく分からないワードを呟くと、幸ちゃんがぐるんと俺の方を向いた。 「き、気にしないで!夏澄くんは何も気にしなくていいからね」 「う、うん…???」 「ほんと隆也やめてよ、夏澄くんに勘違いされたらどうするの!」 「いやごめん、だってさ幸が読んでる漫画の…」 「……もう1発殴るよ」 「すみません」 「…………?」 よく分からないやり取りの中、俺の友達に隆也が追加されたのだった。
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