記憶喪失と学園生活

新展開

それから1週間くらい、あっという間に過ぎていった。新しい生活…というか、記憶がない俺にとってはどの人との出会いや関わりも新鮮な感じで、色んな人の名前や顔を覚え直して脳が疲れたのもあるのか体感2日くらいで1週間が過ぎていった。

変わったのは、神宮寺先輩や涼宮先輩が全然顔を見せなくなったことくらい。代わりに時々葵さんが来て、よく一緒にご飯を食べたりお喋りをしてくれるようになった。

聞けば、あの二人は俺を襲おうとした3人組を探し出す為に色々とやってくれているらしい。それに加えて近々ある親睦を深めるための企画を考えなければならないらしく、頻繁に生徒会室で会議が行われているんだとか。

そういえばあの襲われかけた後から3日くらいで先生からネクタイの色を学年ごとに変えると連絡があって、唯一理由を知っている俺は「あの人たち本当にやったんだ…」っていう心境だった。

1年が赤、2年が青、3年が緑になったみたいで、新しいネクタイが配られたりもした。

何より大きかったのが隆也が俺たちのグループに仲間入りした事で、隆也はとにかく声が大きくて明るくてマイペースでちょっと馬鹿…で、その時に俺が悩んでることとか全部吹き飛ばすようなムードメーカーだった。

コミュ力の高い隆也のおかげで俺も割とクラスに馴染むことが出来、基本的には隆也と幸ちゃんと俺の3人でいるけど、普通にクラスメイト達とも話せるようになって嬉しい。

最初は生徒会のお気に入りであの神矢蓮からも気に入られてる1年…みたいな感じでちょっと周りから遠ざけられてたんだけど、隆也がクラスメイトに俺をでかい声で紹介してくれたおかげでそれもなくなり楽しい学校生活を過ごせていた。

あの後から、なるべく1人で行動しないように気を付けたことと蓮が毎日寮の部屋まで送り迎えしてくれるようになったおかげで誰かに絡まれるなんてことも無く(毎日送り迎えはちょっと恥ずかしいけど)。