新展開

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生徒会室のドアを開けると、笑顔の神宮寺先輩とドヤ顔の涼宮先輩が目に入った。 「夏澄さん、お久しぶりです」 「神宮寺先輩!どうしたんですか?急に呼ばれてびっくりしちゃいました」 俺がそう言うと神宮寺は満面の笑顔で両手を広げた。 「……ど、どうしたんですか?」 「約束したじゃないですか〜、疲れた時にハグさせてくださるって」 た、確かにしたけど。 したけど…したし神宮寺先輩なら別にいいんだけど……。 みんなの前で、しかも待ち構えられているとなんだか恥ずかしい。 俺がもじもじしていても、神宮寺先輩は分かっているくせにその手を引っこめる気はないようで。 「……わかりましたよ…約束ですからね」 しぶしぶと俺は神宮寺の腕の中に歩み寄った。俺が腕の中に入ると、優しくきゅっと抱きしめられる。 ……はぁ。なんで俺、この学園に来てから男に抱きしめられまくってるんだ……? しかもこの学園の雰囲気なのかしらないけど、男に抱きしめられることに疑問を抱かなくなってきている自分が怖い…。 神宮寺の背中に手を回してポンポンと叩くと神宮寺は俺の方に頭を填めて大きなため息をついた。 「はぁ…私凄く頑張りました…この生徒会長と2人で…癒しなんてありませんでした…。夏澄さん、褒めてください」 「?ええっと…?なんの事か分からないけど頑張りましたね…?」 「おいっ、俺にも抱きしめさせろ!!」 「ふざけないでください、夏澄さんとハグするって約束したのは私で貴方じゃありません!」 …………仮にもこの学園の生徒会の生徒会長と副会長がこんな意味のわからないくだらないことで……。 目を半目にして呆れた顔をしていると、葵さんがゴホンと咳払いをした。 「2人とも、夏澄くんが困ってます…。それに報告したい事があるっておっしゃってましたよね…」 やっぱり俺の生徒会のオアシスは葵さんだけなような気がする。 あの時のカッコよかった生徒会長と副会長、どこいっちゃったんだろ。
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