新展開

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「そうだ」と涼宮先輩はまたドヤ顔に戻る。 「どうにかしてやるって言ったろ?」 ニヤリと笑うその姿に、以前同じ言葉を言われたことを思い出す。 「えっ、見つかったんですか?!」 「俺らの手にかかれば朝飯前だ」 「俺らって、作戦考えたり指示したのは私ですよ。…まぁ生徒数が多すぎて時間は予想よりかかってしまいましたけどね」 「う、うるせぇな。ちゃんと協力したろ。それにネクタイの方は俺1人でやったしよ」 …すごい、本当になんとかしちゃったんだ。 俺一人のためにそんなに頑張ってくれたんだ。 正直嬉しくないって言ったら嘘になる。俺一人のためにまだ関わって日も浅い先輩たちが頑張ってくれたのもそうだし、何よりやっぱり自分を襲ってきた相手がずっと同じ学校にいると思うと恐怖が大きかったから。 「……ま、これで少しは安心出来たか?」 ぽんと涼宮先輩の大きな手が俺の頭に置かれ、やや乱暴にわしゃわしゃと撫でた。 「……ありがとうございます」 精一杯の笑顔でお礼を言うと、涼宮先輩が少し固まった後に顔を赤らめて目を逸らしてしまう。なんだよせっかく笑顔でお礼言ったのに…。 「おい、お礼」 ぶっきらぼうにそう言われお礼は今言ったじゃん、もしかしてお金?と思って見ていると先程の神宮寺先輩みたいに両手を広げているのが目に入った。 …まじ? さっきまではカッコよかったのに…。 俺がジト目で見つめると少し照れくさそうに「神宮寺とはやったんだから俺もいいだろ!」とムキになったような声色が返ってくる。 いやいいけどさ。神宮寺先輩とはハグしたのに涼宮先輩とはハグしないってなんか仲間はずれみたいになるし。 でも男とハグして何が楽しいんだろ…。 この学園ではハグが流行ってるのか??それほど皆ストレス貯めてんのかな。 「わかりましたよもう」
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