新展開

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…恥ずかしくなってきた。もう一度お礼を言って退出しよ…。 そう思って顔を上げた瞬間、バタンと勢いよく生徒会室の扉が開く音がした。 「すみません遅れました〜☆」 「……………ごめんなさい」 派手なオレンジ髪をツンツン跳ねさせた人と、大柄で黒髪をもさもささせた人が勢いよく生徒会室に転がり込んでくる。 俺がびっくりしてみていると、神宮寺先輩がため息をついたのが分かった。 ……あ!前神宮寺先輩が言ってチャラ男な広報委員ってこのオレンジ髪の人の方じゃ…?明らかに軽そうな雰囲気だ。もう1人の方は分からないけど。 オレンジ髪の人は俺を見ると少し驚いたような顔をした後、みるみるうちに顔を笑顔でいっぱいにした。そして一直線に走ってくると、俺の手をガッシリと両手で包み込む。 「わ〜!!すっごい可愛いね君!!こんな可愛い子を俺がチェックし損ねてたなんて〜!!最近学校サボって自室で寝てたからなぁ〜。何年生?何組??名前はなんて言うのっ???あっ、俺は雪城快斗(ゆきしろかいと)!!よろしくね〜☆」 一息でそこまで言い放った雪城先輩…は、目をらんらんと輝かせ俺の手を握ったまま顔をぐいぐいと近づけてくる。…近い近い!!!距離が!!!パーソナリティスペースが狭い!!! 俺が困り果てているとべりっ、と涼宮先輩が雪城先輩を引き剥がした。 「なんで引き剥がすんですか涼宮サン!!!!俺は今この子と運命の出会いをした所で!!!」 「なにがだふざけんな」 涼宮先輩に凄まれ、襟元を掴まれたまま雪城先輩が小さくなったのがわかった。 呆然としていると、とんとんと肩を叩く感触がある。振り向くと大柄なもう一人の人が、俺をじっと見つめている。 …もさもさ?もふもふ?とした少し毛量の多い黒髪の奥から綺麗な琥珀色の瞳が覗いていて、整った顔立ちをしている。 流石生徒会、美形しかいないんだなと俺は周りをくるりと見回した。 「あ、あの…?」 いつまでも口を開かないその人に俺もじっとその人を見つめてみる。 「……………新しい、生徒会の子…?」 ぽそりとゆっくり、その人が呟いた。 ああ、俺生徒会の新人だと思われているのか。生徒会は家柄も外見もよくないと入れないと言ってたし入れるわけないんだけど…。 「いえ俺は…」 「こいつ、俺のお気に入り」 涼宮先輩がぐいっと俺の首に手を回し、俺を引き寄せた。突然引き寄せられて俺はよろめいたけどそんなのお構い無しと言った感じだ。 「えええ!!もう涼宮サンが手をつけてたんですか!?じゃあ俺にチャンスないって事ですか〜…萎えるなぁ〜…」 「勘違いしないでください。彼は私のお気に入りでもあるんですからね。涼宮の物じゃありません。葵だって夏澄さんの事は気に入ってますし、ね?葵」 「えっ?…はい、そうですね」 突然話を振られた葵さんが困ったように微笑む。……すみません葵さんこんなくだらない事に巻き込んじゃって…!俺は心の中で葵さんに謝った。
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