新展開

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「な〜んだ!まだ誰のものでもないんスね!そしたら俺にもチャンスあるじゃん!!夏澄ちゃんだっけ、よろしくね!」 「……嫌俺男なので…」 俺が嫌そうな顔をしてやんわりと断れば、きょとんとした後にあははと雪城先輩は楽しそうに笑った。 「すっごいね!俺、こんな嫌々断られたの初めて!皆が気に入るのも分かるな〜、逃げられると追いかけたくなっちゃうもん」 「はい?!」 何を言ってるんだろうこの人…?は、話が通じない…。大体気に入られてるって、先輩たちは後輩として俺を気に入って可愛がってくれているのであって…。……あれ?そうだよな? 「雪城、うるさいですよ。夏澄さん紹介しますね。このオレンジのうるさいのがさっき自分で言ってましたが雪城快斗です。生徒会広報委員。こっちの大きい子が緒方環(おがたたまき)。うちの書記です。無口な子ですけどこっちはいい子なので、仲良くしてあげてくださいね」 「こっちはって!!神宮寺サン酷いですよ!!俺だっていい子ですって〜!」 「うるさいです」 「はぁ、えっとよろしくお願いします。雪城先輩に緒方先輩」 俺がぺこりと頭を下げると、またもや緒方先輩がじっ……となにか言いたそうに俺を見つめる。 なんだろうと思いつつ俺も見つめ返していると、緒方先輩がゆっくりと口を開いた。 「……たまき」 「えっ?」 「…………たまきって、よんで……」 そう言い終わると緒方先輩はまたじっと俺を見ている。…えっ、先輩を下の名前呼び…?葵さんと同じで上の名前が嫌だとか? 「…………環さん」 流石に呼び捨ては、と俺が小さくさん付けすると、環さんは納得してくれたのかほにゃ、と緩く笑顔を作ってくれた。 か、可愛い………。熊さんみたい。 蓮も大柄のわんこっぽさがあったけど、環さんは熊さんっぽい。動物好きの俺としては今にでも頭を撫でたい衝動に駆られたのだが、ぐっと我慢する。 「環だけずるい!!!俺も俺も!!俺も快斗先輩がいいな〜♡」 俺が癒されていたのもつかの間、横から雪城先輩がにゅっと出てきて必死にアピールしている。 「……わかりましたよ、快斗先輩。」 「おいっ、それなら俺も下の名前で呼べよ」 「皆さん狡いですよ。私も下の名前がいいです!」 ……どうなってるんだこの生徒会は。 下の名前で呼ぶのが親愛の証とでも思ってるんだろうか……。
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