新展開

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その後、ギャンギャンと下の名前呼びで喧嘩し続ける先輩ズを宥めるために下の名前で呼ぶことになったりして、俺は疲れた。 この人たち本当に生徒会なのか?ってくらい子供っぽい。俺のクラスメイトたちの方が大人なんじゃないだろうか? 「ねーねーっ、夏澄ちゃん俺と一緒に親睦会ペア組んでよ!」 快斗先輩がニコニコしながら俺の手を握る。 ……親睦会? その瞬間ぎらりと涼宮…は、颯斗先輩と神宮寺…涼…先輩の目が光り、快斗先輩を押しやった。 「俺と組め」 「私と組みましょう」 片手ずつ先輩達に取られ、俺は真ん中で2人を困ったように見つめる。 「…………先輩…かすみ、困ってる…」 そこに救いの手、環さんが呟く。それを聞いてか2人は渋々と言った感じで俺の手を離した。どうやらこの2人、環さんの言うことは聞くらしい。それほど環さんのことも可愛がっているのだろう。 「ちょっと待ってください、親睦会って何ですか?」 俺がきくと皆は知らないの?という目で俺を見てくる。……もうこの視線にも慣れました。俺は何も知らないからよくこの目で見られる。 「……あー、そうだったな。お前1部記憶喪失なんだったな、知らなくても仕方ないか」 「夏澄ちゃんって記憶喪失なの!?お姫様みたいだねぇ〜」 お、お姫様って……。 「親睦会は結構一般生徒に取ったら一大イベントなんだよ夏澄くん」 「一大イベント?そうなんですか?」 「そうですね。単純に言えば隠れ鬼みたいな物なんですけれど、1位の生徒は誰でもデートに誘えるんですよ。誰でも、ということは生徒会のメンバーもです。一般生徒が生徒会をデートに誘える機会なんてここくらいですから」 俺は耳を疑った。男子校で、こんなところで、1位の商品がデート誘い権だと!?なにその地獄のような商品…。 「男同士でデート誘って何が楽しいんですか……」 「そんなこと言うのお前くらいだっつーの。普通の一般生徒共は血眼になって1位取りに来るしよ。ていうか俺達も必死だぜ?デートしたくもない一般生徒とデートしないためには自分たちが1位になるしかねーし」 …なるほど、それは生徒会も大変だ。俺も同情してしまう。顔も名前も知らない男から強制的にデートさせられる可能性があると言うこと…。 「でも別に先輩たちとペア組まなくても、俺蓮と組もうかな……」 「…………学年、超えた親睦会……だから……同学年とは、組めない……よ?」 環さんが困ったような顔で俺を見る。 ……なんだと!? 俺の頭の中では完全に蓮と一緒に出場する事が決まりかけていたのに。蓮なら俺と組んでくれるだろうし。
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