新展開

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……そして俺には先輩の知り合いはこの生徒会の人達しかいない。ということは……この3人から、選ぶのか……。誰を選んでもまた小競り合いが勃発しそうで面倒だなぁ……。 「おい夏澄、俺と組めよ。俺と組めるなんてこの学校じゃすげー光栄な事なんだぜ?」 「こんな奴と組んでは行けませんよ夏澄さん。私と組んで一緒に頭脳的に勝ち抜きましょう」 「待って待って!俺も俺も!出会ったばっかりだし2人で仲良く逃げて仲を深めようよ〜♡」 ずらりと並ぶ3人の先輩たち。 ……誰の手を取ろう。 まぁ、皆いい人だと思う。記憶喪失で帰ってきた俺を気にかけてくれるし…。 そう思いつつ悩んでいると、何かかんがえこんでいた様子の葵さんがサッと先輩たちの横に並んだ。 「……夏澄くん、あの時お礼するって言ってくれてたよね?……お礼だと思って俺を選んでくれないかな」 葵さんのその言葉が余程以外だったんだろう、颯斗先輩や涼先輩だけでなくずっとニコニコしていた快斗先輩までもが驚いたように葵さんを見ている。 「えっ、あっ、俺ですか?!葵さんがいいなら…俺は嬉しいですけど……」 突然のことにあたふたと言葉を紡いぐと、真剣な表情で俺を見つめていた葵さんがほっとしたように息を吐いた。 それと同時に驚いて固まっていた3人が動き出す。 「えーーっ!!!葵も夏澄ちゃん狙いだったの!?葵、そういう事興味ないっていつも言ってるのに!!」 「葵!!テメェ大人しい顔して狙ってやがったのか!?」 「ちょっと2人とも落ち着いてくださいよ……普段主張しない葵がここまで言ってますし、夏澄さんも了承しているんですから…。ここは大人しく引き下がるのがというものですよ。」 涼先輩、こういう所はカッコイイんだよなぁ。なんだかんだいって後輩を気に入ってるのが伝わってくる。 「巻き込んでごめんね、夏澄くん。当日頑張ろうね」 俺を見て微笑む葵さんは今日も抜群に綺麗でカッコイイ顔をしてる。その顔で微笑めば誰でもペアになってくれそうなのに、俺なんかでいいのかな……。
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