新展開

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ベッドでうとうとしていると物音が聞こえ、蓮が帰ってきたことが分かった。そのままベッドから起き上がり玄関へ足を進めた。 「蓮、おかえり〜。俺より遅いなんて居残りでもしてた?」 「んー……職員室に呼ばれて……。最近、出席してるのはいいけど授業ちゃんと聞けって怒られた……」 「……そりゃ怒られるわ。蓮って勉強苦手だっけ?」 「う…。国語とかはいいけど数学…数字見てるとどんどん眠くなる」 数学を思い出したのか苦虫をかみ潰したような顔をする蓮に思わず笑ってしまう。俺は今のところ記憶喪失は勉強に特に支障出てないけど、俺も勉強は得意じゃないっぽいしテストとか不安かも。 「あっ、そうだ蓮。この学校親睦会あるって知ってた?蓮、ペアどうするの?」 「あぁ、なんか学年合同の……。……!カスミ、誰と組むの!?もしかして生徒会の涼宮とか!?」 「えっ?い、いや?俺は葵さんと組むことになったよ」 「葵……あぁ、カスミを助けてくれた人」 そう聞いて少しほっとしたような、ヤキモチを焼いているような顔をする蓮。…蓮って顔に全部気持ちが出てるんだよなぁ、そこが可愛いんだけど。 「ちょっと意外、蓮もっとヤキモチ焼くかと思った」 俺が素直にそう言うと、蓮は目をジト目にして唇を尖らせた。 「流石の俺でもカスミの危ないところを助けてくれた奴に噛み付いたりしませんー」 そうはいいつつも、いつもの様に拗ねたような表情をする蓮を宥めようと頭を撫でると気持ちよさそうに蓮が俺の手にすりっと擦り寄ってくる。 動物好きな俺としては、この蓮のわんこっぽさに癒されるんだけど、はたから見たら凄い光景なんだろうなぁとも思いつつ。
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