新展開

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✱蓮視点 「……なんだよ」 『テメェそれが先輩への口の利き方か?夏澄が絡んでなきゃテメェなんかとペア組まねぇのによ』 「はぁ?俺だってカスミに言われてなきゃお前なんかと組まねーよ」 『……クソガキ。まぁいい、今回は手を組め。お前にも悪い話じゃねぇ』 「……」 『…夏澄とデートしたくねぇのかよ』 「……!!……詳しく聞かせろ」 俺がそう言うと電話越しの涼宮が明らかにニヤニヤしたような声色になる。……ムカつく。だから嫌いなんだこいつ。 『親睦会、あれ隠れ鬼みてーなもんだろ?あれで1位になりゃ好きな相手をデートに誘える。それは知ってるな?』 「まぁ。それで夏澄を指名するってわけ?」 『平たく言えばそうだな。運動神経のいい俺とお前ならいい線行けると思うぜ?どうだ、やるか?…まぁ、1位のペアが同じ相手選べばダブルデートみたいになっちまうが、お前も他の奴に夏澄がデート誘われるの見たくねぇだろ?』 「……見たくない。お前とカスミ挟んでデートなんて嫌だけどカスミが他の奴とデートしちゃう方がやだ…」 『いちいち腹立つガキだな。まっ、そういう事だ。やるならマジだ。この親睦会終わるまでは手を組むぞ』 頭の中でぐるぐるかんがえる。気に食わないコイツとペアを組む。それは嫌だ。でも俺の知らないやつがカスミをデートに誘うのはもっと嫌。それにコイツと俺とカスミでデートすれば、コイツがカスミに変なことするの殴ってでも止めれるし。 「……わかった」 『わかりゃいい。それじゃあな』 それだけいうと、ブツンという音の後に機械音がプーッ、と鳴る。…はぁ。アイツと行動を共にするなんて…。 「蓮ー、どうだった?」 カスミが結果が気になるようで目をキラキラさせて身を乗り出してくる。…可愛い。 「…ん。ペア組むことになった」 「よかったな!喧嘩しなかった?」 「……してない」 ちょっと喧嘩売りかけたけどしてない。未遂。 俺がそう言うとカスミが偉い偉いと頭を撫でてくれる。カスミは最初に比べたら凄く躊躇いもなく俺の頭撫でてくれるようになった。…わんこ扱いなのは分かってるけど、好きな人に触れてもらえるのは何だって嬉しい。 「…俺1位になってカスミデートに誘う…」 俺がそう言うとカスミはびっくりしたように手を止めた。 「俺を?!なんで?!」 「…カスミが他のやつにデート誘われたらヤだから…だから俺が1位になって先に誘うの」 「俺なんて別に指名されないって。蓮は心配性だなぁ」 …カスミは何も分かってない…。鈍感なところも可愛いけど、こういう時はちゃんと自覚して危険意識持って欲しいのに。 …でも分かってくれないんだろうなぁ、カスミ。 俺は諦めて大きくため息をついた。
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