親睦会

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ガラガラと階段側の教室の方向からドアの開く音がして、少しの間くぐもった何かを探す声や音がしたかと思うと、また廊下に出たように複数人の足音が聞こえる。 ガラ、と俺たちの隠れている教室のドアが開いた音がした。 別に捕まったからってどうにかなるわけでもないのに妙に緊張して、心臓がドキドキしたままじっと身を潜めた。葵さんも心配そうに隙間から外の様子を伺っている。 「やっぱりいないよ。外に逃げたんじゃないの?」 「ちゃんと探したワケ?」 俺たちが見つからないからか少し苛立ったような声が聞こえてくる。 というかよく考えたらこんな狭い物置のような所に人気の葵さんと2人きりで閉じこもっているなんて、葵さんの親衛隊にバレでもしたら俺は八つ裂きにされるんじゃないか?? ……正直見つからるよりもそっちの方が怖いや…。 きゅ、急に余計緊張してきた。 ……見つかりませんように…見つかりませんように…。 ぎゅっと目をつぶり、祈るように手を合わせる。 するとそれに気付いたのか、葵さんが心配そうに俺を抱きしめた。安心させようとしてくれたのかもしれないけど、突然のことに思わず声が出そうになる。 …まずい。余計今見つかったら俺が八つ裂きにされる…!!! 狭いところに2人で閉じこもっていただけならまだなんとかなったかもしれない。でも狭いところに二人でいてしかも抱き合ってたら完全に言い逃れが出来ない気がする。 でも葵さんに今ここで離してくださいと言ったら確実に見つかるし…。それにさっきから安心させようと背中をポンポンと抱きしめたまま叩いてくれているのが申し訳なさすぎる。葵さんの優しさが痛い…。 ……ええい、ここは覚悟を決めよう! 見つからないことに賭け、俺は葵さんの腕の中でおとなしくすることにした。暴れたらせっかくここに隠れた意味も無くなっちゃうし。
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