親睦会

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「うう、結構逃げられたのになぁ。こんなとこで捕まるなんて……」 「ごめんね…でもカスミが他のやつに捕まるトコとか見たくなかったし、カスミ捕まえられてよかった」 蓮がそう言ってすりすりと俺に擦り寄ってくる。 「カスミ〜、俺コイツと今日ずっと一緒にいても喧嘩しなかったよ。頑張ったよ。褒めて?」 甘えた声で期待の眼差しを向けてくる蓮を、思いっきりわしゃわしゃと撫でてやると気持ちよさげに目を細めぎゅっとまた抱きしめてくる。 「おい!クソガキ、何やってんだどけ!」 「はぁ?僻むなようるせーな」 俺から蓮を引きはがそうとする颯斗先輩と、それに応戦して戦闘態勢に入ろうとする蓮をなんとか宥める。…この2人相性悪すぎじゃないか?よく喧嘩せずにここまで来れたなぁ。 「香澄、俺ら1位取るぜ多分」 機嫌を治したらしい颯斗先輩はそう言いつつ首にかかっている大量の番号札をジャラ、と鳴らした。 「今年は大して足はえーやついねーよ」 「それにお前は親衛隊とかいう奴らからたっくさん貰ってたしな」 「先輩に向かってお前じゃねぇだろガキ」 「俺もガキじゃねぇんですけど?」 「もう、少し目を離しただけで喧嘩し始めるの辞めてくださいよ2人とも!颯斗先輩も一々突っかからない!蓮も先輩をお前呼びしない!」 見ていられず指をさしてそういえば、罰が悪そうにする2人。 なんていうか、デカくて顔もよくて普段は俺様だったり喧嘩っぱやい2人が俺の言うことですぐしゅんとなるのは…ちょっと可愛い。いや、俺は変な趣味はないんだ。……ないからな。 「う゛……」 「ま、まぁ、覚悟しとけよ香澄。1位取ってやるからよ」 「はい?覚悟?なんでですか?…………あ、蓮がそういえば俺をデートに指名するとか言ってたような……」 「コイツだけじゃねーよ。俺もお前を指名する」 「………………は!?」 人もまばらな玄関口に、俺の声が響いた。
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