親睦会

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というか!この学園がおかしいんだ!デートとか言うから変な風に聞こえるだけで、ただ男同士で出かけるだけのことじゃん。 そう思いながらずんずんと足を進める。 大体高校生にもなってなんで隠れ鬼が親睦会のメインコンテンツなんだ…。金持ちの考えることってよく分からない。俺も家は金持ちみたいだけど全然その記憶や自覚がないんだよなぁ。 「どうしたの?難しそうな顔して」 「葵さんのせいですよ」 俺がじとっと葵さんを見ると、葵さんは何が楽しいのかふふっと微笑む。 「ごめんね、困らせちゃった?」 「困ったって言うか……デートって言われ方すると意識しちゃうじゃないですか。男2人で出かけるだけなのに…」 「…意識してくれるんだ」 「え?」 葵さんが何か小さくボソリと呟いたが聞き取れず、聞き返すとううん、と誤魔化される。 そのまま体育館に着けば、中には捕まったのであろう逃げる側のTシャツを来ている生徒たちがざわざわとひしめきあっている。 キョロキョロと当たりを見回してみれば、待ち時間に暇だからだろうか、ゲームをやっている人や食事を取っている人、テレビを見ている人など皆くつろいでいる。 環さんと涼先輩がいないか軽く見てみたが見当たらない。まだ逃げてるのかな。そういえば快斗先輩どっちなんだろう。 「香澄くん!」 「あ、幸ちゃん!逃げる側だったんだ」 「うん、でも僕走るの遅いからすぐ捕まっちゃった」 幸くんが運動系のイベント嫌いだよ〜、と眉を下げる。そんな姿も可愛くて、自然と笑顔になってしまう。 「香澄くんは…えっと、高瀬様とだったんだよね?凄いね、生徒会の人とペアだなんて!狙われたでしょ?」 「うん、凄かった。葵さんを狙う女の子みたいな男の子たちがぶわーって走ってきて!」 俺たちのそんな会話を聴きながら葵さんは苦笑いしている。 「でも蓮と颯斗先輩に捕まっちゃってさ」 「そうだよ、神矢くんと生徒会長が一緒にペアなんてびっくり!あの二人仲悪そうだったのに」 幸ちゃんは唇に手を当てて考え込むような仕草をする。まぁそりゃそうだよな、あの二人廊下とか教室とかで会う度にお互い威嚇してたし。なんかネコ科って感じ。
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