デート

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「着いたぞ。ここからはちょっと歩くがいいか?」 特に何もなさそうに見える路地で車を下りる。歩くのは全然構わないけど、どこに行くんだろう? 颯斗先輩が歩くのを必死に追いかけていると、ざわざわと人通りの多い所にでた。 「映画見るぞ」 「映画ですか?」 「あぁ。普通の奴らはデートっていったらそういうのするんだろ?お前、金持ちっぽい事好きじゃねぇって言うから」 ……ちゃんと俺の事考えてくれてたんだ。 ちょっと嬉しい。多分颯斗先輩くらいの規模なら、わざわざ映画館に見にこなくても自室でおっきいスクリーンで映画くらい見れるんだろうけど、俺のためにわざわざ来てくれたのかな。 「…俺、エイガカン?入ったことない…」 蓮が横で呟く。……ここにも金持ちがいた…というか皆金持ちなんだよな。俺も家自体は大きいし金持ちらしいし。全然おぼえてないけど。 「俺も入ったことねぇ。まぁどうにかなるだろ。行くぞ」 颯爽と映画館の中に入っていく颯斗先輩に、周りの女の子たちがキャーキャー悲鳴を上げている。学園内でも外でもあんまり変わらないなぁ……。 周りの人達が颯斗先輩を芸能人だと勘違いしているらしく、誰あれ?ってヒソヒソ話をしている。蓮も大柄で金髪だからヤンキーっぽい見目はしてるけど、顔立ち自体は整っているので注目を浴びている。 これで颯斗先輩と蓮が女の子だったらなぁ。そしたら俺は今だったのに。 そんなことを考えながら俺も映画館に入る。どれを見るかという話になって、最近男同士のあれこればっかり考えていたので払拭するために恋愛映画を選んだ。 蓮がどうしてもおっきいキャラメルポップコーンをかう!と聞かないのでこんなでっかいの食べきれないと思いつつも1つ買った。 俺たちは1番後ろくらいの席で、周りには人は座っていない。静かに映画が見れそうだと安心して腰を下ろす。蓮、俺、颯斗先輩の順で座って映画の上映を待った。
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