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* * *
──いつから眠っていたのだろう。
次に目を覚ました時、涙の海に溺れた筈の私は水面上に浮いていた。
未だ手に取っていた枯れた向日葵が一輪、砂の様に崩れていく。
向日葵の様な色をした葉が一枚、私の視界に飛び込んで来る様に舞い降りた。その葉はもう一枚、またもう一枚、あの時泣いていた私の涙と同じくらいに幾つも増えて、やがて涙の海は紅葉で満ちていった。あの時とは違って、私の顔からは涙じゃなくて、今度は笑顔が零れた。
「……秋が来ちゃったね」
未だ秋の到来を告げたばかりの紅葉が更にもう一枚、揺らめく様に舞い降りた。
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