向日葵の海に溺れて

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 悲しくも壁が崩れてしまい、私から涙は再び零れ落ちる。その強過ぎる思いのせいで、向日葵は受け止められず、徐々に枯れていってしまった……。 「……もう約束を破ってしまう私なんて、……最低だよね」  そんな枯れていく向日葵の一つを、私は優しく抱きしめた。  他に少し枯れてしまった向日葵の幾つかは、涙の海の水面に浮かんでいた。水面に波紋が出来ると其処に、向日葵たちは枯れているのに、咲く様に拡がっていく。 「……ありがとう。大好き」  そう呟くと私の目に、水面上で咲き誇る少し枯れた向日葵たちと、その海に溺れていく自分の姿が映った──。
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