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「おし、着いたぞ。」
大輝が路肩に車を寄せると、薫はシートベルトを外しながら言った。
「大輝と斗和はこのまま車で待機。すぐに連絡をとれるような状態にしておいてください。例の公園までは私と礼音で行きます。」
「分かった。」
それぞれが領くのを確認すると、薫は車を降り た。礼音も大きめの鞄を肩から掛けて後部座席から降りる。
「恐らく、この道を行ったところの右手側にいる はずです。」
「分かった。急ごう!」
そうして2人は真っ暗な道に消えていった。
事前に連絡をとっておいた構成員と合流して公園を目指す。薫は最悪の事態をシュミレーションして震える足を叱咤しながら走っていた。
「公園ってあれ!?」
礼音が指さす方面には開けた土地がある。
「ベンチの付近の花壇にボスがいるはずです。それから高校生くらいの少年もどこかにいるはずです。手分けして探してください!」
薫が指示を出すと、構成員が素早く動き出した。礼音もそちらについて行く。薫は公園の入口に立つと、スマホを開く。履歴を開き、2番目にある『藤堂』をタップして電話をかける。だが出る様子はない。緊張で手が震える。
10コールを過ぎたあたりで突然コール音が途切れた。
「もしもし?!」
『も、もしもし。』
電話に出たのは構成員の1人だった。
『このスマホ、公園内の公衆トイレに落ちていたのですが、…ボスのものですよね?』
「そうですが、今一時的にボスの居場所を知らせてくれた少年に貸しているのです!…っ!トイレに人は?!」
『いません!』
「っくそ!」
叩くように電話を切ると、 公園内から構成員の声がした。
「ボスを発見しました!」
「傷は?!」
構成員の声を受けて礼音が走る。花壇に倒れる男をベンチに横たえるよう構成員に指示すると、自分の鞄から医療道具を取り出し、迅速に対応していく。
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