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家から最寄りの駅までは自転車。頬に感じる風はほのかにひんやりとしていて、本格的な秋の到来を感じさせる。雲ひとつない澄み渡った空を見上げて、小さく溜息をついた。
駅近くのいつもの駐輪場に自転車をとめて、駅のホームに向かう。
電車に乗り、椅子に座る。白いイヤホンをつけて、お気に入りのクラシックを流す。顔を上げると、顔見知りの人が立っている。同じ時間帯2同じ電車に乗るから顔を覚えてしまった。と言っても所詮は他人。もう一度下を向いて目を閉じる。
学校の最寄り駅で電車を降りて、コンビニで昼ごはんを買う。ポケットに手を突っ込んでゆっくり歩く。
「おはよー。」
自分のクラスに入って友人たちに声をかける。
「おはよ！架瑠！お前今日数学当たるぞ？」
「まじか！…問題見ても分かんない！誰か教えてー！」
「仕方ねえなぁ。これはこうで…。」
体育の後の日本史は机に伏せて眠って昼休みは友人たちと対戦ゲーム。放課後になると音楽室に向かう。
「架瑠！遅いよ！」
「すみません、先輩！」
「もう！じゃあ出席確認します！」
所属する吹奏楽部で担当している打楽器の練習。個人練習をした後にパート練習、その後合奏。
部活が終わるのは7時過ぎ。その後急いで駅に向かい、7時半から家の最寄り駅近くにあるマンツーマンの塾に行く。
「こんな問題も解けないんですか？」
「……はい。分からないです。」
今日は苦手な数学。先生が大きな溜息をつく。
それを見ると、下を向いて目を瞑り膝の上に置かれた両手を握りしめる。
塾が終わるのは9時過ぎ。そこから自転車で家まで帰る。
「ただいま。」
返事の返ってこない家に向かって呟きキッチンに向かう。机の上にはいつも通り1人分の冷えた食事が用意されている。手を洗った後、制服のまま、いただきます、と食事に手を合わせて食べ始める。食べ終わると食器を洗う。2階に上がって母親の部屋のドアを開ける。
「ただいま、母さん。」
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