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興奮して気がつかない外山は、構わず話し続ける。
「私、近くで高峯くんの演奏聴いてみたいなぁ。昼休み終わるまでまだ時間あるし、少し弾いていかない?」
「うーん。最近あまり練習してないからなぁ」
「え? 高峯くん、二月末にあった全日本クラシックコンクールでも三位だったじゃない」
「まあまあ。高峯くんはまだお昼食べてないんだ。そろそろ戻った方がいいよ。ね、高峯くん」
僕がそう言うとアキラは破顔して「そうだね」と言った。
対照的に外山は、さっきまでの勢いはどこへ行ったのやら途端に申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「そうだったんだ。高峯くん、引き留めちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。外山さん、練習頑張ってね」
「ありがとう!」
外山は本当に嬉しそうだった。
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